いつかの遺失物係

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静かなサウナ

1ヶ月くらい前(気をつければまだ外出くらいはいいのではないか、という頃だった(数年後にこれを読むことがあった時のためにも書いておく))、友達と軽井沢の温泉にいった。 その日3回目のサウナに入ると、それまで若干混んでいたサウナは、俺、そして若者…

Call Me By Your Name

北イタリアには雪が降るのだな。 太陽の光が「降り注ぐ」とはこのことかというような明るい光に包まれた北イタリアの夏が映される。まさに思い描いたイタリアの風景そのものだ。庭に植えられた背の低い木や、そこになっている果実。真っ白な家々と強い日差し…

森田るい『我らコンタクティ』

もっぱらの評判に影響されて先日購入した森田るい『我らコンタクティ』、評判通りすごく面白かった。 森田るい『我らコンタクティ』 すごくざっくり言えば、二十代半ばの男女が恋愛も抜きでロケット開発に勤しむ漫画なのだが、あらすじはこのマンガの紹介と…

永井均『翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学的諸問題へのいざない』(ちくま学芸文庫)

13歳の翔太は夏休みの最初の日、夢を見た。自分が何度も夢から覚めるという夢。その夢から覚めた翔太はそのことを猫のインサイトに話すと、賢いインサイトは、今が夢じゃない証拠はあるだろうか、と問いかけてくる。この本はそんな会話から始まる対談形式の…

『映画長話』の装丁がいいという話

先日、蓮實重彦・黒沢清・青山真治『映画長話』を読んでいたところ、服部一成・山下ともこによる装丁が読むほどに良く感じられてきたので、それについて書こうと思います。 これは装丁がどのように意図されて作られたか、という話ではなくて、この本の装丁か…

蓮實重彦、黒沢清、青山真治『映画長話』

ここ5年くらい、自分のなかで映画への興味がゆっくりとわき起こり続けている。そんななかで少しアカデミックな映画評論を読んでみたくなり、ステップアップとして読みやすそうだからと手にしたのがこの本だった。もともと「三人の装丁」という展示で目にし…

ソーシキのケーシキ

数日前に、大学でお世話になったこともある教授のお通夜があった。入院していたことは知っていたが、そこまで悪いとは全く知らされておらず、突然の死に多くの人が驚いていて、自分も少なからずショックを受けた。 僕は結婚式に参加したことがない。僕が体験…

ロールプレイング小説体験 - 筒井康隆『旅のラゴス』(1986)

なぜ「ラゴスの旅」ではなく「旅のラゴス」なのか。読み始めてまずそこが気になった。 ラゴスとはこの小説の主人公の名前だ。ある世界で旅をする若者ラゴスが各地を訪れ、年を経ていく物語。最初の章を読むと、この世界がどうやら僕らのいる世界とは違うもの…

OOH OOH! SAY IT! STARS SHINE

今日は仮免許試験に合格したので、免許合宿のホテルの部屋で一人梅酒を炭酸で割って飲んだり、映画『ガタカ』を観たりと独身文化系アラサーOLの気分で楽しく過ごした。本当は今日に限らずこの四日くらいこんな調子でいる。 普段から一人でいるときには歌った…

コインランドリー生活

コインランドリーを利用するのは初めてだ。三日分の洗濯物を放り込んで部屋に戻り、ブログを書いてみる。 一人で免許合宿に来ている。ここ秋田県大館市での二週間の滞在が予定されているが、まだ三日目だ。大館には雪が積もっていて、道路には雪はないものの…

私的音楽二十選 2015 【後半】

前半はこちら。 <a href="http://necomachiradio.hatenablog.com/entry/2015/07/10/013525" data-mce-href="http://necomachiradio.hatenablog.com/entry/2015/07/10/013525">私的音楽二十選 2015 【前半】 - いつかの遺失物…

相対的に

外山恒一が少し前にネットに発表したテキストがめっぽう面白かったので衝撃を受けた。これは読んでない人にも一応薦めておくべきかもしれない、と思いこのブログに書こうと思い立ったのだった。(思い立ってから数週間この記事を下書きに放り込んでいた)以…

私的音楽二十選 2015 【前半】

現在自分が何を好んでいるのかを書き記すことが何かにつながるかもしれないと思っているので、2015年現在の自分の中でのベストアルバムを20枚選んでみました。これはミュージシャンのbeipanaさんがやっていたのを真似しているわけですが。 自分が音楽を自覚…

硝子のスクーター

「自分の好きなものをおおっぴらに公言するところが男子校っぽい」大学で会った人にそう言われて「男子校じゃなくてもネット上にはそういう人ばっかりいるけど」とは答えずに「ああ、そうなのかもしれない」と答えたのは、僕が本当に中高を男子校で過ごして…