いつかの遺失物係

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永井均『翔太と猫のインサイトの夏休み 哲学的諸問題へのいざない』(ちくま学芸文庫)

13歳の翔太は夏休みの最初の日、夢を見た。自分が何度も夢から覚めるという夢。その夢から覚めた翔太はそのことを猫のインサイトに話すと、賢いインサイトは、今が夢じゃない証拠はあるだろうか、と問いかけてくる。この本はそんな会話から始まる対談形式の…

『映画長話』の装丁がいいという話

先日、蓮實重彦・黒沢清・青山真治『映画長話』を読んでいたところ、服部一成・山下ともこによる装丁が読むほどに良く感じられてきたので、それについて書こうと思います。 これは装丁がどのように意図されて作られたか、という話ではなくて、この本の装丁か…

蓮實重彦、黒沢清、青山真治『映画長話』

ここ5年くらい、自分のなかで映画への興味がゆっくりとわき起こり続けている。そんななかで少しアカデミックな映画評論を読んでみたくなり、ステップアップとして読みやすそうだからと手にしたのがこの本だった。もともと「三人の装丁」という展示で目にし…

ロールプレイング小説体験 - 筒井康隆『旅のラゴス』(1986)

なぜ「ラゴスの旅」ではなく「旅のラゴス」なのか。読み始めてまずそこが気になった。 ラゴスとはこの小説の主人公の名前だ。ある世界で旅をする若者ラゴスが各地を訪れ、年を経ていく物語。最初の章を読むと、この世界がどうやら僕らのいる世界とは違うもの…